競技中のパフォーマンス維持に役立つ食事法 "カーボローディング"
持久力を必要とするスポーツ競技の前に行う食事法
オープンウォータースイミング(遠泳)やトライアスロンなど長時間のスポーツ競技において、最も重要なのはエネルギーの確保と、身体に蓄えたエネルギーを効率よく消費すること。エネルギーの消費だけでなく、エネルギーの供給源としても筋肉が重要な事が分かります。運動量の調節や、栄養摂取法を上手に取り入れ、個人の目的に合わせて活用することが重要です。そこで、必要なエネルギーを体内に蓄えるための食事法の種類と、持久性パフォーマンスの向上を期待できるカーボローディングについて、まとめてみました。
必要なエネルギーを体内に蓄えるための食事の方法
必要なエネルギーを体内に蓄えるための食事法は、炭水化物の蓄積、タンパク質の補給、脂質の活用、そして適切な食事のタイミングと加工食品の活用が、重要なポイントとなります。
カーボローディング
炭水化物(糖質)を多く摂取し、体内のグリコーゲン貯蔵量を増やす。運動時のエネルギー源として利用できるグリコーゲンを多く蓄えることで、長時間のスタミナ維持が可能になる。
適切なタンパク質摂取
筋肉や組織の合成・修復に必要なタンパク質を摂取する。特に運動後は早めにタンパク質を摂取すると効果的。
脂質の活用
長時間の運動時には脂質がエネルギー源として利用される。適度な脂質摂取は必要。
食事のタイミング
朝食、昼食、夕食を規則正しく摂る。間食は控えめにする。
加工食品の活用
忙しい時は加工食品を活用するが、栄養バランスに気をつける。主菜に加工食品を使う場合は、副菜に野菜などを添える。
持久力を必要とする競技に適した“カーボローディング”
カーボローディングは、オープンウォータースイミング(遠泳)やトライアスロンなどの持久力を必要とする競技に適しており、競技中のパフォーマンス維持に役立つとされています。持久力を必要とするスポーツ競技の前に行う食事法です。その目的は、競技中にエネルギー不足を起こさないようにし、持久性パフォーマンスを高めることです。
カーボローディングのポイント
- 競技の3日前から高糖質・低脂肪の食事に切り替える
- 糖質を多く含む食品の摂取量を増やし、体内のグリコーゲン(糖質の貯蔵形態)を最大限に蓄積する
- 筋肉と肝臓のグリコーゲン量を通常の2倍ほど増やすことで、長時間の運動中のエネルギー不足を防ぐ
カーボローディングの効果的な食事方法
カーボローディングの効果的な食事方法は、主食をはじめとした糖質を多く含む食品の摂取量を増やし、その分脂肪の摂取量を控えます。競技の3日前までは糖質を50%程度に抑え、競技の3日前から1日前までは高糖質・低脂肪の食事に切り替えます。これにより、体内のグリコーゲン貯蔵量が増加し、長時間の持久力競技中のエネルギー不足を防ぐことができます。
効果的な食事方法のポイント
競技の3日前から高糖質・低脂肪の食事に切り替える。
糖質を多く含む食品の摂取量を増やし、体内のグリコーゲン(糖質の貯蔵形態)を最大限に蓄積する。
筋肉と肝臓のグリコーゲン量を通常の2倍ほど増やすことで、長時間の運動中のエネルギー不足を防ぐ。
カーボローディングを行う際に避けるべき食品
- 脂肪の多い食品
- 揚げ物、脂身の多い肉(牛肉、豚肉の脂身など)
- 食物繊維の多い食品
- 野菜、果物、豆類など
カーボローディングの目的は、筋肉と肝臓のグリコーゲン量を最大限に高めることです。そのため、脂肪の多い食品は避け、糖質の多い食品を中心に摂取する必要があります。また、食物繊維の多い食品も避けるべきです。食物繊維は糖の吸収を遅らせるため、グリコーゲンの蓄積を阻害してしまう可能性があります。つまり、カーボローディングの期間中は、主食の量を増やし、肉や魚などのタンパク質源を中心に、脂肪分と食物繊維の少ない食事を心がけることが重要です。
カーボローディングを行うことで得られる主な効果
カーボローディングを適切に行えば、長時間の持久力競技でのエネルギー切れを防ぎ、最後まで高いパフォーマンスを発揮できるようになるのが大きな効果といえます。
- 筋肉と肝臓のグリコーゲン貯蔵量を2-3倍に増やすことができる
- 長時間の持久力競技(マラソン、トライアスロンなど)でのエネルギー不足を防ぐことができる
- 筋疲労や中枢性疲労の予防に役立つ
最後まで最大限のパフォーマンスを発揮できるようになる一方で、以下のようなデメリットもあります
- 糖質の摂取に伴い体重が1.2-2kg増加する
- 糖質の代謝に必要なビタミンB1の摂取にも気をつける必要がある
カーボローディングを行う適切な期間
競技の3日前から高糖質の食事に切り替え、それに先立って7日前から徐々に糖質を減らしていく低糖質食期を設けるのが適切な期間設定といえます。この期間設定により、競技当日に最大限のグリコーゲン貯蔵量を確保でき、長時間の持久力発揮に繋がります。
例えば
- 7日前は250gの米を200g
- 6日前は米を150g
- 5日前は米を100g
- 4日前は米を50g
カーボローディング 具体的な食事内容
レース3日~1日前の食事のポイント
- 高糖質・低脂肪の食事を心がける
- 主食を多めに取る
- 丼物やパスタなどの糖質の多い食品を中心に摂取する
- 1日の糖質摂取量の目安は、体重1kgあたり10g程度
- 例えば体重50kgの女性なら1日500g、体重65kgの男性なら1日650gの糖質を摂取する
具体的な食事例
- 親子丼 + うどん
- 魚介トマトソースパスタ
- ごはん + 豚しゃぶ + 温野菜サラダ
食事内容のポイント
レース前2-3日間は高糖質・低脂肪の食事を心がけ、グリコーゲンを効率的に蓄えることが重要です。
- 主食を多めに取り、糖質を多く摂取する
- 脂肪は控えめにする
- 食事のバランスも意識する
- レース当日の朝食も高糖質にする
まとめ
エネルギーを体内に蓄えるための食事法の種類と、持久力を必要とするスポーツ競技の前に行う食事法のカーボローディングについて、ご紹介しました。オープンウォータースイミング(遠泳)を始め、マラソン、自転車競技、水泳長距離など耐久力を必要とするスポーツは意外にも多く、運動法や練習法も大切ですが、最後まで最大限のパフォーマンスを発揮するには、食事法も重要な事が分かりました。エネルギーの供給源となる筋肉をつくる効率的な食事法を取り入れ、よりオープンウォータースイミング(遠泳)を楽しんでいきましょう。