海に入る前に知っておこう!海の危険と気をつける事
オープンウォータースイミング(OWS)は危険を伴うスポーツであることを認識し、十分な準備と注意を持って練習や競技に臨むことが、楽しむための第一歩と覚えておきましょう。以下の点に注意を払い、常に安全を最優先にすることが重要です。
入る場所(海)の天気や波など環境の確認
天気予報をしっかりチェック
- 天候や水温の変化に注意し、低体温症や熱中症のリスクを認識する
- 波やうねりの状態を確認し、高波時は特に注意が必要
- 潮の満ち引きを事前に調べ、急な水深の変化に備える
- 風速が6m/s以上の場合は遊泳に適さないため、事前に確認する
天気予報や波の潮の流れ・高さなど海に入る前に必ず確認しましょう。インターネットではかなり細かいエリアまで天気がわかります。もちろん大潮や波の高さまで。海の大会前はもちろんですが、練習する時も、その海のコンディションをしっかり事前にチェックして把握しておきましょう。
海の生物に注意しよう
- クラゲなどの有害な海洋生物に注意する
特に注意しなければならないのが人を刺すクラゲです。日本の近海にはカツオノエボシやアカクラゲなど毒性の強いクラゲが生息しています。刺されると痛みだけでなく赤く腫れたり爛れたりします。発熱する場合もありますので、クラゲ予防のクリーム等を塗って予防するのも良いでしょう。
刺されてしまった場合は応急処置
真水で患部を洗い流しながら冷やします(オシッコをかけたり砂を擦り込む等は間違った知識です)。海に入る前に、クラゲ刺され予防のローション(SAFESEA セーフシー)やラッシュガードを着用をおすすめします。
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共通の初期対応
- 安全な場所に移動する
- 刺された箇所を海水でよく洗い流す
- 残っている針や触手を取り除く(素手ではなく、ピンセットや手袋を使用)
クラゲ類(ハブクラゲ、カツオノエボシなど)の時の対処法
- 冷水や氷で冷やす
- ハブクラゲの場合は食酢で、その他のクラゲは海水で触手を取り除く
オコゼ類の時の対処法
- 43度程度のお湯に60〜90分間つける
- 顔や胸、腹部の場合は湯を入れた袋を患部に当てる
その他の海洋生物
- カサゴ、ゴンズイ、エイ、カーエー(アイゴ)、ウニ類:温湯療法が有効
- イソギンチャク、サンゴ、ガヤ類:冷却が有効
- エイに刺された場合:患部を水で洗い、棘を抜き、毒を絞り出し、45°Cのお湯に1時間半ほどつける
原因不明の場合
温めるか冷やすか、効果のある方を選びましょう。体に異変を感じた場合は、無理をせず速やかに医療機関を受診しましょう。
重要な注意点
- 真水は使用しない(クラゲの刺胞を活性化させる可能性がある)
- アナフィラキシーショックの危険があるため、できるだけ早く医療機関を受診する
- 痛みが軽減しない場合は、医療機関で適切な処置を受ける
リップカレント(離岸流)に気をつけよう
リップカレント(離岸流)などの危険な海流について知識を持ち、対処法を学んでおきましょう。
波は砂浜に寄せ再び沖に戻りますが、砂浜によっては沖合いに向かって引き戻す力が局所的に強い箇所があります。とても強いのでカレントに引き込まれると泳ぎが達者な人でもあっという間に沖に流され、最悪の場合溺死することさえあります。ビーチによっては遊泳禁止のサインが立っていますし、ライフセーバーの指示がありますが、仮にカレントに巻き込まれてしまった場合は、流れに逆らわず沖合いまで流され、流れが弱くなったら横に泳いで脱出して下さい。
海練習前の個人の体調管理について
自身の体調を十分に把握した上で海練習に臨むことが、安全なOWS参加につながります。
持病の管理
特に中高年齢者は、糖尿病、高脂血症、高血圧症などの心血管系疾患や他の持病を抱えている可能性があります。自身の健康状態を把握し、リスクを認識した上で参加することが重要です。
体温チェック
練習当日の体温が37.5度以上の場合は、練習を控えるべきです。
練習前の泳ぎのチェック
海での練習前に、通い慣れたプールでゆっくりとフォーミングなどを行い、自分の泳ぎをチェックすることが推奨されます。
海での練習経験
競泳競技の経験が豊富でも、海で泳ぐ競技は異なるリスクがあります。悪天候も想定した上での海での練習を事前に行うことが不可欠です。
心血管系の異常に注意
体調不良や疲労は心血管系の異常を発症するリスクを高めます。突然死の危険を避けるため、体調管理は極めて重要です。
安全対策の実施
- 可能な限り監視員のいる場所で泳ぐ
- 必要な安全器具(スイムブイやエマージェンシーフロート)を携帯し、単独での練習は避ける
大会での泳ぎ方・注意点
スタート地点は後ろのほうがベスト
大会のスタートは、合図と同時に大勢の選手が一斉にスタートします。この集団に巻き込まれないように注意しましょう。落ち着いてスタートをきる事が出来るので、スタート地点は後ろの方がベストです。まずは多くの人を見送ってから「よし!行こう!」の心構えで。
入水は走らず慌てず
砂浜から腰の辺りまでは、走らずに歩いて行きます。落ち着いて入水しましょう。一気に泳ごうとすると 体への負担が大きくなるので、最初は平泳ぎで徐々に海水の冷たさ波などに慣れます。充分に慣れてきたらクロールに切り替えましょう。慌てる必要はありません。初めての人は泳ぎ出す前に何度か呼吸を整えながらボビング(水中で息を吐き水上に顔を出して呼吸をその場で繰り返す)をして、それから泳ぎだすぐらい余裕を持って行きましょう。
沖に出たら自分のペース
大切なのは緊張しないこと、自分のレースなので自分のペースで行って下さい。疲れたら立ち泳ぎや背泳ぎで休みましょう。クロールで泳ぐ場合は、自分の位置と目標を確認しながら、平泳ぎで確実に方向確認を。ヘッドアップクロールでは無理に前を見た時に呼吸をせず、前を見る時には目や鼻までが水上に出ていればOK。その後、一度顔を水に戻し呼吸は普段通り(クロールの場合)横向きになって呼吸しましょう。まずは楽しみながら完泳する目的を大切にしましょう。レースは開始10分以内にリタイヤする人が殆どです。スタート時に異変を感じてすぐ勇気を持ってリタイヤする人もいますが、オーバーペースによるリタイヤ。まわりに影響され、自分を見失ってしまう人もいます。
救助のサインと安全対策について
オープンウォータースイミング(OWS)の海での練習において、救助のサインを知ることは非常に重要です。
救助のサインとしては、立ち泳ぎで片手を使ってスカーリング(手のひらで横向きの8を書くような水かき)をしながら、もう片方の手を上げて救助を求めるのが一般的です。このサインは、遠くからでも目立ちやすく、救助が必要であることを明確に示すことができます。
事前準備
- 海での練習前に、プールで基本的な泳ぎ方(クロール、平泳ぎ、背泳ぎ)をマスターすること
- 長時間泳げる省エネの泳ぎ方を習得すること
- 海での呼吸リズムを練習すること
競技者の注意点
- 体調管理を徹底し、前日の深酒や当日の飲酒を避けること
- 自身の持病や健康状態を把握し、リスクを認識すること
- スタート時の接触による事故に注意すること
環境への対応
- 波やうねりが高い場合の対策を学ぶこと
- 海洋生物による傷害を防ぐため、肌の露出を抑えること
練習会での学習
- ウェットスーツの着脱方法
- 海に慣れる練習
- ヘッドアップやドルフィンスルーなどの技術
- ビーチスタートや集団泳の練習
きちんとしたオープンウォータースイミングの大会には多くのライフセーバーが参加し、併泳したりコースのポイントで待機したりと泳者の安全を考え、しっかり見守っています。あなたの動きも必ず見られています。泳者の数の割合に対してライフセ-バーの数が少なすぎる大会もあるので気をつけましょう。